「一日一杯の赤ワインは体にいい」そんな話、聞いたことはありませんか?
テレビやSNSでよく話題になる“適度な飲酒の健康効果”。
実際に、心疾患リスクの低下など、医学的に一定の根拠があるとする研究も存在します。
しかし一方で、少量の飲酒でも健康リスクがあると警鐘を鳴らす声も。
とくに高齢者にとっては、「適量」が一般成人とは異なる点に注意が必要です。
この記事では、高齢者や介護と飲酒の関係を中心に、健康への影響と上手な付き合い方について、解説していきます。
「適度な飲酒」とはどれくらい?
厚生労働省の「健康日本21」によれば、健康を害さない目安として示されている飲酒量は、1日あたり純アルコールで約20g。
これに相当するのは、おおよそ以下の量です。
- ビール中瓶1本(500ml)
- ワイン グラス約2杯(200ml)
- 日本酒1合(180ml)
ですが、高齢者の場合は要注意!
肝機能の低下、薬の服用、病気の影響により、若いころと同じように飲んでいると体に負担がかかるリスクがあります。
飲酒がもたらす健康効果とは?

✅ 赤ワインとポリフェノールの抗酸化作用
赤ワインに含まれる「レスベラトロール」などのポリフェノールには、血管の老化を防ぐ抗酸化作用があるとされ、動脈硬化や心疾患の予防に良い影響を与える可能性があります。
✅ 血行促進とリラックス効果
適量のアルコールは一時的に血管を広げ、血行を良くすると言われます。
また、リラックス作用や入眠促進の効果があることから、夕食時の少量の飲酒は「心地よい眠り」につながることも。
✅ コミュニケーションの活性化
介護の現場でも「晩酌の時間が毎日の楽しみ」という高齢者は多く、家族や職員とのコミュニケーションのきっかけになることがあります。
飲酒の健康リスクと注意点
❌ がんや肝臓病のリスク
アルコールは、がん(特に食道がん・口腔がん・肝臓がんなど)や肝疾患のリスク因子とされています。
❌ 薬との相互作用
高齢者の多くが服用している睡眠薬・降圧薬・糖尿病薬などは、アルコールと相互作用を起こしやすく、転倒・意識障害・記憶障害などを引き起こすこともあります。
❌ アルコール性認知症の可能性
長年の過剰飲酒や習慣的な飲酒は、認知症の一因になることも。
とくに「物忘れ」が始まっている高齢者では注意が必要です。
飲まない方がいい人とは?
以下のような方は、たとえ少量でも飲酒を控えるのが望ましいです。
- 肝疾患・糖尿病・高血圧など持病がある
- 常用薬を服用中(とくに精神安定剤や降圧薬)
- お酒に弱い体質(顔が赤くなる、悪酔いしやすい)
- 転倒・ふらつきが増えてきた
高齢者と「適度な飲酒」の上手な付き合い方
● 休肝日を取り入れよう
週に2〜3日以上の休肝日を設けることで、肝臓をいたわりながら飲酒を続けることができます。
● 食事と一緒にゆっくり飲む
空腹時の飲酒は吸収が早く、一気に酔いが回ることがあります。
食事と一緒に、時間をかけてゆっくりと味わいましょう。
● ノンアルコール飲料を活用する
最近は高品質なノンアルビールやノンアルワインも豊富。
医師から制限が出ている方でも“晩酌気分”を味わえる選択肢になります。
まとめ「楽しむお酒」には健康リスクの理解が必要

適度な飲酒は心と体に良い影響を与えることもありますが、高齢者にとっての「適度」は人それぞれ。
介護する側としては、「お酒の楽しみ」と「健康維持」のバランスをとりながら、その人に合った飲み方を一緒に考えることが大切です。
💡介護の現場ではこんな場面も
- 「父の晩酌習慣をやめさせるべき?」
→ 無理にやめさせず、量を減らしたりノンアルに切り替える提案を。 - 「お酒を飲んで転倒したことがある」
→ 完全に禁酒も視野に入れ、主治医と相談を。 - 「施設でお酒が飲めず、気力が下がっているよう」
→ 一部施設では「お楽しみデー」などの工夫も。
家族と一緒に検討してみましょう。
📌お酒は、人生の楽しみのひとつ。
だからこそ、年齢や体調に合わせた“上手なおつきあい”が大切です。