「最近ずっと緊張している気がする」「休んでいるのに疲れが抜けない」「何もしていないのに焦る」
そんな状態が続いていませんか?
それ、実は過緊張かもしれません。
精神科医・奥田弘美氏の著書『それ、すべて過緊張です。』によると、現代の多くの人は、無意識のうちに“常に心と体が緊張している”状態に陥っているといいます。
特に真面目で頑張り屋の多い日本人は、この「過緊張気質」に要注意。
本記事では、自律神経の乱れにもつながる「過緊張」の正体やそのリスク、そして著者が提唱する「3つのレスト(休息)」をもとにしたセルフケア法を、わかりやすく解説します。
なぜ今「過緊張」に注目すべきなのか
ストレス社会で静かに進行する「過緊張」

私たちは毎日、仕事や家事、人間関係など多くのプレッシャーにさらされています。
それに慣れてしまうと、「疲れているのが当たり前」になってしまい、自分の緊張状態にすら気づかなくなります。
「頭が休まらない」「休日も心が落ち着かない」「理由もなくイライラする」
そんな状態が続いているなら、あなたの心と体はすでに交感神経が過度に緊張した「過緊張状態」にあるかもしれません。
精神科医・奥田弘美氏の指摘:「それ、すべて過緊張です」
奥田氏は、「やる気がある」「真面目で一生懸命」な人ほど、この状態に陥りやすいと指摘しています。
しかも、頑張っている本人は「まだいける」と無理を重ねてしまうため、悪化しやすいのです。
過緊張の症状と原因とは?
代表的な症状
過緊張が続くと、以下のような心身の不調が現れます。
- 肩こり・首こり・目の疲れ
- 睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に目が覚める)
- 慢性的な疲労感やだるさ
- 焦燥感、不安感、イライラ
- 休日でもリラックスできない感覚
これらは、自律神経が乱れているサインでもあります。
過緊張になりやすい人の特徴

- 完璧主義
- 真面目・責任感が強い
- 自己犠牲的で頼まれると断れない
- 常に「人の目」を気にしている
奥田氏はこうしたタイプを「過緊張体質」と表現しています。
そして、日本人全体が文化的にもこの気質を持っていると指摘します。
「過緊張」が招く自律神経の乱れとその危険性
交感神経が過度に優位な状態とは?
交感神経は「活動・緊張・ストレス」に関わる神経です。
これが常に優位になると、心も体も“戦闘モード”から抜け出せない状態になります。
呼吸は浅く早くなり、筋肉は緊張しっぱなし、消化吸収も滞る。
まさに「全身が常時ブレーキなしで走っている」ようなものです。
放置すると
過緊張を放っておくと、自律神経失調症、慢性疲労、不眠症、心身症など、深刻な病気につながる恐れもあります。
「病気になる前に気づけるか」が、現代人にとって非常に重要です。
整える力を取り戻す「3つのレスト」
Rest(休息)= まずはしっかり「寝る」

睡眠不足は、自律神経にとって最大の敵。
毎日最低7時間の睡眠を確保しましょう。
- 就寝90分前の入浴で体温を調整
- スマホやPCは寝る1時間前にはOFF
- 寝る前は「静かな時間」をつくる(音楽やストレッチなど)
休息は「疲れてから取る」ものではなく、「疲れないために先に取る」ものです。
Relaxation(リラクゼーション)= 意識的に「ゆるめる」

- 深呼吸
- ゆっくりお風呂に浸かる
- 好きな音楽や香りを楽しむ
こうした五感を使ったリラクゼーションは、副交感神経を刺激し、過緊張をやわらげます。
「何もしない時間」も立派なケア。
ボーッとすることに罪悪感を持たないでください。
Recreation(レクリエーション)= 楽しみを取り戻す

過緊張を抜くには、「楽しい!」と感じる体験も必要です。
- 散歩・自然と触れる
- 絵を描く、音楽を奏でる
- 気の合う人と過ごす
「何の役に立つか」ではなく、「気持ちが満たされるか」が大事です。
過緊張を予防する日常の工夫とは?
時間に追われない「食事時間」も休息のひとつ
- 食べるときはスマホを置いて、“今ここ”に集中
- よく噛むことでリラックスホルモンが分泌
- 自律神経を整える栄養素(ビタミンB群、マグネシウム、発酵食品など)を意識
忙しい日々の中でも、「食べる=整える時間」と捉え直すことが大切です。
「自分にやさしい思考」への切り替え
- 「休んでもいい」「今日はやめておこう」と言える勇気
- 「できない自分」を責めない
- 他人と比べない、自分のリズムで生きる
思考のパターンを変えることも、立派なセルフケアです。
まとめ|日本人にこそ必要な“意識的な休息”

真面目でがんばり屋な人ほど、「過緊張」には要注意。
交感神経が張り詰めっぱなしの状態では、心も体も壊れてしまいます。
今日からできる「3つのレスト」
- しっかり眠る(Rest)
- 意識してゆるめる(Relaxation)
- 楽しみを取り戻す(Recreation)
これらを意識的に日常に取り入れて、自律神経を整えていきましょう。
「がんばること」より「休むこと」が、明日のあなたを守ります。