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寝たきりで話せない高齢者にも「感情」はあります|伝わらない不安を乗り越える介護のヒント

介護
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「話しかけても反応がない」「もう感情がないように見える」

寝たきりで言葉も発せず、表情も動かせない高齢者の介護をしていると、相手の気持ちがまったく分からず、戸惑いや孤独、そして虚しさを感じてしまう方も多いでしょう。

でも、反応がない=感情がないというわけではありません。

言葉や表情で伝えられなくても、その方の心の中には、今もちゃんと「感情」が生きています

今回は、そんな寝たきりの高齢者との向き合い方、伝わるケアのヒントをご紹介します。

寝たきりで話せない高齢者の「心」は生きている

介護をしていると、「寝てばかり」「無表情」「返事もない」という状態の高齢者に対して、まるで人形のように感じてしまうことがあるかもしれません。

ですが、医学的にも心理的にも、寝たきりや意思表示が困難な高齢者でも「感情」は残っていることが多いとされています。

たとえ言葉を返すことができなくても、聞こえています。

たとえ笑顔が見えなくても、心は揺れています。

大切なのは、「反応がないから何も伝わっていない」と思い込まないことです。

無表情でも「感情」は存在しています

例えば、目をずっと閉じていて、一見眠っているのか起きているのか分からない方でも、感情はしっかり存在しています。

それを感じる一つの瞬間が、誰かに触れられたとき、声をかけられたとき、ふとまぶたがピクリと動く、呼吸が浅くなる、目の端に涙がにじむ…そんな微細な反応です。

私たち介護者は、それを「反応」と呼ぶにはあまりにもささやかで不確かなものとして見逃しがちですが、本人にとっては確かに心が揺れ動いた証です。

「伝わらない」と感じる不安とどう向き合うか

介護者にとって、反応がない相手を前にするのは本当に辛いことです。

  • このケアは正しかったのか?

  • 嫌がっていたらどうしよう?

  • もう何も感じていないんじゃないか?

こうした不安に、何度も心を揺さぶられることがあると思います。

でも、相手が何も言えなくても、あなたの存在や声、手のぬくもりは、確実に届いています

実際に、声かけや手のひらでの接触が、脳波や心拍に変化を与えるケースも報告されています。

「感情を刺激する」関わり方を心がけよう

では、どうやって感情に寄り添い、コミュニケーションを図ればよいのでしょうか?

いくつかの実践的な方法をご紹介します。

積極的に「声をかける」

話せないからといって無言でケアを進めるのではなく、できるだけ普通に話しかけてください。

「おはようございます」「今日はいい天気ですね」など、日常的な声かけだけでも、聴覚からの刺激は心を活性化させます

手をやさしくさする

手のひらや腕をやさしくさすってあげましょう。

スキンシップは、言葉以上に強い安心感とつながりを与えます。

好きだった音楽や香りを届ける

かつて好きだった曲、馴染みのある香り、記憶に結びついた刺激は、深いところに眠っている感情を呼び起こします。

「会いたい人」に会わせてあげる

可能であれば、本人が会いたがっていた人に会わせてあげてください。

表情が動かなくても、心は間違いなく大きく揺れています

介護者の「虚しさ」は自然な感情です

どれだけ愛情を持って接していても、反応がない相手との毎日は「虚しさ」や「孤独」と隣り合わせです。

それはあなたが冷たいからでも、弱いからでもなく、ごく自然な人間の感情です。

ときには他の家族や支援者、ケアマネジャーにその気持ちを打ち明けましょう。

介護者もまた「誰かに気持ちを受け止めてもらう」ことが必要なのです。

まとめ:「何も感じていない人」などいない

寝たきりで、話すことも表情を動かすこともできない。

そんな状態の高齢者に対して、「もう何も感じていないのではないか」と思ってしまうのは無理もありません。

でも、心は消えていません。

あなたの声、手、想いは、きっとその人の心に届いています。

「伝わっている」と信じること

それが、最も大切な介護の第一歩です。