介護について話し合いを進めていくと、多くの家族が必ず直面するのが「在宅介護にするか、施設介護にするか」という選択です。
本人は「できるだけ自宅で過ごしたい」と望んでいる一方で、家族は「本当に続けられるのか」「限界が来たらどうするのか」と不安を抱えがちです。
在宅介護と施設介護には、それぞれメリット・デメリットがあり、どちらが正解という答えはありません。
大切なのは、本人の希望と家族の現実、そして利用できる支援を踏まえて判断することです。
本記事では、シリーズ【第4回】として、在宅介護と施設介護の違いを整理し、家族で考えたい判断ポイントを解説します。
在宅介護とは?特徴と基本を整理

在宅介護とは、本人が自宅で生活を続けながら、家族の支援や介護保険サービスを利用して行う介護の形です。
在宅介護で利用できる主なサービス
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問看護・訪問リハビリ
- デイサービス・デイケア
- 福祉用具レンタル・住宅改修
これらを組み合わせることで、自宅でも一定レベルの介護が可能になります。
在宅介護のメリット
- 住み慣れた環境で生活できる
- 本人の生活リズムを保ちやすい
- 家族が様子を把握しやすい
在宅介護のデメリット
- 家族の身体的・精神的負担が大きい
- 介護者が休みにくい
- 症状が進行すると対応が難しくなる
施設介護とは?種類と特徴

施設介護とは、介護施設に入所して生活し、24時間体制で介護を受ける形です。
主な介護施設の種類
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
施設ごとに入所条件や費用、医療体制が異なるため、事前の情報収集が重要です。
施設介護のメリット
- 24時間の見守りと介護が受けられる
- 家族の介護負担が大きく軽減される
- 医療・介護の連携が取りやすい
施設介護のデメリット
- 住み慣れた自宅を離れる必要がある
- 費用負担が大きくなる場合がある
- すぐに入所できないこともある
在宅介護と施設介護、判断の分かれ目はどこ?
在宅か施設かを考える際、次のポイントが判断の目安になります。
本人の心身の状態
- 日常生活動作(食事・排せつ・移動)はどの程度可能か
- 認知症の有無や進行度
- 医療的ケアの必要性
家族の介護力
- 介護の中心者が誰か
- 仕事や育児との両立が可能か
- 老老介護・ワンオペ介護になっていないか
利用できる支援・環境
- 介護保険サービスの利用状況
- 地域資源(デイサービス、訪問看護など)
- 住環境の安全性
これらを総合的に考えることが重要です。
「在宅で限界になったら施設」は遅い?
多くの家族が「できるところまで在宅で」と考えますが、限界を超えてから施設を探すと選択肢が狭まるという問題があります。
- 急な入院や体調悪化で慌てて探す
- 希望する施設に空きがない
- 家族が疲弊した状態で判断する
そのため、在宅介護を選ぶ場合でも、早い段階から施設情報を集めておくことが大切です。
施設を検討するときに家族で話し合いたいこと
施設介護を選択肢に入れる場合、次の点を家族で共有しておきましょう。
- 本人の気持ちや不安
- 入所のタイミング
- 費用の目安と支払い方法
- 面会や関わり方
「入れる・入れない」ではなく、どう関わり続けるかまで含めて考えることが重要です。
在宅介護と施設介護は「二者択一」ではない
介護は、在宅か施設かのどちらかを選んで終わりではありません。
- 一時的にショートステイを利用する
- 在宅と施設を段階的に切り替える
- 老健を経由して自宅復帰や施設入所を検討する
状況に応じて形を変える柔軟な発想が、介護を長く続けるコツです。
専門家の意見を判断材料にする
在宅か施設か迷ったときは、家族だけで抱え込まず、
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 医師や看護師
といった専門職の意見を聞きましょう。
第三者の視点が入ることで、冷静な判断がしやすくなります。
第3回とのつながり|役割分担が選択を左右する
第3回で解説したように、介護の中心者や役割分担が明確でない場合、在宅介護は早期に限界を迎えやすくなります。
在宅・施設の選択は、家族の体制と切り離して考えられない問題です。
まとめ|家族と本人が納得できる選択を
在宅介護と施設介護、どちらにも良さと課題があります。
大切なのは、本人の希望を尊重しつつ、家族が無理なく続けられる選択をすることです。
「まだ先の話」と思わず、今から情報を集め、話し合いを重ねておくことが、後悔しない介護につながります。
そして、在宅か施設かを考え始めたら、介護施設の種類と違いを知っておくことも大切です。




