在宅介護と施設介護の選択を考え始めると、多くの家族が次に悩むのが「施設って種類が多すぎて、正直よく分からない」という問題です。
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅。
名前は聞いたことがあっても、その違いまで正確に説明できる人は多くありません。
しかし、施設の種類を正しく理解しているかどうかで、介護の負担や満足度、さらには将来の後悔の有無まで大きく変わります。
十分に理解しないまま選んでしまうと、「思っていた介護と違った」「もっと早く知っていれば別の選択ができた」と感じてしまうこともあります。
本記事では、シリーズ「家族で備える介護の準備ガイド」の派生編として、主要な介護施設の特徴・役割・向いている人・注意点を整理します。
いざ探す、その前に読んでおくことで、家族が落ち着いて話し合い、後悔しない施設選びができることを目指します。
なぜ施設の種類を知っておく必要があるのか

介護施設は「介護が大変になったら入る場所」という単純なものではありません。
施設ごとに、
- 入所できる条件(要介護度・年齢・医療依存度)
- 医療・看護・介護体制
- 費用の目安と自己負担額
- 施設の役割(終の住処か、一時的な利用か)
が大きく異なります。
違いを知らないまま選ぶと、「希望していた介護が受けられない」「想定以上に費用がかかる」「早期に転居が必要になる」といったミスマッチが起こりやすくなります。
事前に施設の種類を知っておくことは、家族にとって「選択肢を増やす準備」であり、精神的な余裕を生む大切なステップです。
特別養護老人ホーム(特養)とは

特養の基本的な特徴
特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の高齢者が入所対象となる公的施設です。
長期入所を前提としており、日常生活全般の介護を受けながら生活します。
「終の住処」として選ばれることも多く、安定した介護環境が特徴です。
特養のメリット
- 公的施設のため費用が比較的安い
- 24時間体制で介護職員が配置されている
- 生活の場として長期的に利用できる安心感
特養のデメリット・注意点
- 入所待ちが数か月〜数年になることもある
- 医療依存度が高い場合は受け入れが難しいケースがある
- 個別の要望に細かく対応できない場合もある
特養が向いている人
- 要介護度が高く、在宅介護の継続が難しい人
- 長期的に安心できる生活の場を求めている人
介護老人保健施設(老健)とは
老健の基本的な役割
介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目的とした中間施設です。
病院から退院した後すぐの在宅生活に不安がある場合などに利用され、医師・看護師の管理のもと、リハビリを中心とした支援が行われます。
原則として3〜6か月程度の入所が想定されています。

老健のメリット
- 医師・看護師が常駐しており医療面で安心
- リハビリ体制が整っている
- 次の生活先(自宅・特養など)を考える時間が確保できる
老健のデメリット
- 長期入所はできない
- 在宅復帰や他施設への移行が前提となる
老健が向いている人
- 入院後すぐの在宅生活に不安がある人
- 家族が今後の介護方針を検討する猶予が必要なケース
有料老人ホームとは
有料老人ホームの特徴
有料老人ホームは、民間企業が運営する施設で、介護付き・住宅型・健康型など複数のタイプがあります。
サービス内容や費用、設備は施設ごとの差が非常に大きく、選び方が重要になります。

有料老人ホームのメリット
- サービス内容の選択肢が豊富
- 比較的入所しやすい施設が多い
- 居室や共用部分が充実している場合がある

有料老人ホームのデメリット
- 費用が高額になりやすい
- 契約内容が複雑で分かりにくいことがある
- 施設ごとの質の差が大きい
有料老人ホームが向いている人
- 費用よりもサービスや快適さを重視したい人
- 早い段階から将来を見据えて入所を検討したい人
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは
サ高住の位置づけ
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認や生活相談サービスが付いた高齢者向けの賃貸住宅です。
介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用します。
サ高住のメリット
- 賃貸住宅に近い自由な生活ができる
- 比較的元気なうちから入居しやすい
サ高住の注意点
- 介護・医療体制は住宅ごとに大きく異なる
- 重度化すると住み替えが必要になる場合がある
施設選びで家族が必ず確認したいポイント
施設の種類にかかわらず、次の点は必ず確認しましょう。
- 要介護度が上がった場合の対応方針
- 医療対応の範囲(看取り・通院対応など)
- 月額費用だけでなく総額の目安
- 家族の関わり方や面会のしやすさ
見学時には、パンフレットだけでなく職員の対応や雰囲気を見ることも大切です。
第4回とのつながり|在宅か施設かを考えた「次の一歩」
第4回で解説した「在宅介護か施設介護か」という判断の先には、必ず「どの施設を選ぶのか」という具体的な問題があります。
施設の種類を理解しておくことは、慌てず、納得して選ぶための準備といえます。
まとめ|施設の種類を知ることは家族の安心につながる
介護施設は、それぞれ役割も目的も異なります。
早い段階から違いを知り、家族で共有しておくことで、いざというときに冷静な判断ができます。
「まだ必要ない」と感じている今こそが、実は最も落ち着いて考えられるタイミングです。
施設の種類を理解することは、家族と本人を守るための大切な介護準備の一歩です。
次回【第5回】では、こうした選択を迫られる背景にある「老老介護」や家族の限界問題について解説します。




