「ぽっと出症候群」とは?
「ぽっと出症候群」とは、介護にほとんど関与してこなかった家族・親族が、突然介護の場に現れ、強い意見を述べたり介護方針に口を出したりすることを指します。
日本の医療や介護現場では「カリフォルニアから来た娘症候群」とも呼ばれています。
悲しいことに、この症候群で、医療の現場で主治医と話し合って決めた終末期医療の方針が、遠くに住む家族・親族の一言で覆り、延命治療が延々と行われるようになることなどがあります。
このような家族・親族は、日頃の介護の苦労を理解していないことが多く、介護者家族と衝突することがあります。
なぜ起こるのか?
疎遠だった家族が急に関与する
普段は遠方に住んでいたり、仕事が忙しかったりして介護に関与していなかった家族・親族が、久しぶりに訪れた際に状況を見て驚き、急に口を出すことがあります。
「もっと良い介護ができるはず」という理想論
介護の実態を知らないため、「こうすればもっと良くなる」と理想論を掲げ、現場に混乱をもたらすことがあります。
罪悪感や後ろめたさ
介護を任せきりにしていた罪悪感から、「自分が何とかしなければ」という気持ちが強くなり、無理な要求をすることがあります。
介護現場への影響
介護者への負担増加
介護を続けてきた介護者に対し、「もっとこうするべきだった」と指摘し、介護を担ってきた者が精神的に追い詰められることもあります。
ケアプランの混乱
突然の意見変更により、ケアマネジャー等がプランを見直さざるを得なくなり、混乱を招くことがあります。
対策と対応方法
事前の情報共有を徹底する
家族・親族間で定期的に情報共有を行い、介護の現状を把握してもらうことで、「ぽっと出」の状況を防ぐことができます。
専門家を交えて話し合う
ケアマネジャー等を交え、現状を説明しながら建設的な話し合いを行うことが重要です。
感情的にならず、冷静に対応する
急に介護に関与する家族・親族に対して感情的に反発せず、冷静に状況を説明し、理解を求める姿勢が大切です。
役割を分担する
「できる範囲で協力してもらう」ことを提案し、遠方の家族・親族には金銭的支援や手続きのサポートをお願いするなど、現実的な役割分担を決めるのも有効です。
まとめ
「ぽっと出症候群」は介護現場でよく見られる問題です。
しかし、事前の情報共有や冷静な対応によってトラブルを防ぐことができます。
みんなが協力し、負担を分散することで、より良い介護環境を作りましょう。