在宅介護を行う上で、住まいの工夫は介護する側・される側の双方にとって非常に重要です。
安全で快適な環境を整えることで、介護の負担を軽減し、より良い生活を送ることができます。
ここでは、家全体・介護居室・トイレや浴室3つのポイントに分けて、在宅介護に適した住まいの工夫を紹介します。
居住環境をどのように整備するかで、その後の在宅介護生活のクオリティは大きく左右されます。
家全体の工夫
バリアフリー化を進める
- 段差をなくし、スムーズに移動できるようにする
- 玄関・廊下・ドアの幅を広くする(車椅子が通れる幅:約80cm以上推奨)
- すべりにくい床材を使用し、転倒防止対策を行う
手すりの設置
- 玄関、廊下、階段、トイレ、浴室などに手すりを設置
- 握りやすく、体重を支えられる強度のあるものを選ぶ
室内の温度管理
- ヒートショックを防ぐため、冬場は廊下や浴室も暖房を設置
- エアコンや加湿器で適切な温度と湿度を保つ
照明の工夫
- 明るく、足元が見やすい照明を設置
- センサーライトを活用し、夜間の移動をサポート
介護居室の工夫
ベッドの配置と種類
- 介護ベッドを導入し、高さ調整やリクライニング機能を活用
- ベッドの周囲には十分なスペースを確保し、介助しやすい環境に
動線の確保
よく利用する場所の動線がしっかり確保できているかよく確認しましょう。
- ベッドからトイレ、浴室への移動がスムーズになるように家具を配置
- 車椅子や歩行器を使用する場合は、広めのスペースを確保
収納の工夫
- よく使うものは手の届く範囲に配置し、無理なく取り出せるように
- 衣類や日用品は分類して収納し、取り出しやすくする
緊急時の対応
- ベッド周辺に呼び出しベルやインターホンを設置
- 転倒時や体調不良時にすぐ対応できるように、スマートフォンや緊急連絡先を身近に置く
トイレや浴室の工夫
トイレの工夫
トイレは居室に近い場所、もしくは居室内にあることが望ましいでしょう。
- 手すりを設置し、立ち座りの負担を軽減
- 和式トイレは洋式に変更し、必要に応じて補助便座を導入
- 夜間でも使いやすいように、足元灯やセンサーライトを設置
浴室の安全対策
- すべりにくい床材を使用し、転倒リスクを軽減(すべり止めマットを導入)
- 段差をなくし、浴槽のまたぎ高さを低くする(またぎやすい高さ:約40cm以下)
- 介護者がサポートしやすい浴槽の形状を選ぶ
- シャワーチェアや浴室用手すりを設置し、安全に入浴できるようにする
- 浴室暖房を設置し、寒暖差を少なくする
- 入浴前に浴室を温めるための暖房機能付き換気扇を活用
まとめ
在宅介護の住まいの工夫は、安全性・快適性・使いやすさが重要です。
家全体のバリアフリー化、介護居室の動線確保、トイレや浴室の安全対策を整えることで、介護者・要介護者双方が安心して過ごせる環境をつくることができます。
在宅介護をより快適にするために、まずはできるところから少しずつ取り組んでみましょう。