スマイルケア食の現状と展望：介護食品との違いと可能性

スマイルケア食とは？

スマイルケア食は、健康維持や栄養補給が必要な高齢者や介護が必要な人向けに作られた特別な食品です。

これは、一般的な「介護食品」とは異なり、より幅広い層に対応した食品であり、食事の楽しみを損なわずに健康をサポートすることを目的としています。

スマイルケア食と介護食品の違い

介護食品とは？

介護食品は、高齢者や嚥下(えんげ)機能が低下した人向けに作られた食品の総称です。

特に、「ユニバーサルデザインフード（UDF）」や「嚥下食」などが含まれ、食べやすさや栄養補給を目的としています。

※「ユニバーサルデザインフード」とは、日常の食事から介護食まで幅広く使える、食べやすさに配慮した食品です。その種類も様々で、レトルト食品や冷凍食品などの調理加工食品をはじめ、飲み物や食事にとろみをつける「とろみ調整食品」などがあります。

※嚥下食とは、飲み込みや咀嚼(そしゃく)の機能が低下している人を対象に、食べやすく調整した食事です。嚥下調整食とも呼ばれます。

スマイルケア食の特徴

スマイルケア食は、介護食品の一部ではありますが、嚥下障害の有無にかかわらず、「低栄養リスクのある人」に向けた食品として特別に分類されます。

そのため、栄養補給が必要な高齢者だけでなく、回復期の患者や食が細くなった人も対象になります。

嚥下食とスマイルケア食の違い

嚥下食は、主に「飲み込みやすさ」に重点を置いた食品であり、咀嚼(そしゃく)や飲み込みが困難な人向けに作られています。

一方、スマイルケア食は「栄養補給」を重視した食品であり、食べる楽しみも維持できる設計になっています。

項目	スマイルケア食	嚥下食
対象者	低栄養リスクのある人	嚥下障害がある人
主な目的	栄養補給・食事の楽しみ	飲み込みやすさ重視
形状	やわらかい食品・栄養補助食品	ペースト・とろみ食品

スマイルケア食の分類

スマイルケア食マークと安全性の確保

スマイルケア食には、対象者が適切な食品を選べるようにするための「スマイルケア食マーク」があります。

また、スマイルケア食は「食品安全基準」に基づいて製造されており、高齢者が安心して食べられるように配慮されています。

スマイルケア食には、以下の3つの分類があります。

1. 青マーク（栄養を補う）
   • 低栄養を防ぐために、たんぱく質やエネルギーを強化した食品。
   • 例：栄養強化ゼリー、たんぱく質強化ヨーグルト
2. オレンジマーク（噛みやすい）
   • 硬いものが食べにくい人向けに、やわらかく加工された食品。
   • 例：やわらかい煮魚、ミートボール、ムース食
3. ピンクマーク（嚥下しやすい）
   • 嚥下が難しい人向けに、飲み込みやすくした食品。
   • 例：とろみ飲料、嚥下補助ゼリー、ペースト状のおかず

超高齢社会における介護食品の重要性

スマイルケア食のような栄養補助食品は、以下の点で社会的に重要です。

• 高齢者の低栄養予防
  • 高齢者は食事量が減少しがちで、栄養バランスが崩れやすいため、手軽に栄養補給できる食品が必要。
    
    
• 介護負担の軽減
  • 介護者の負担を減らしつつ、本人が楽しんで食事を続けられるような食品設計が求められる。
    
    
• 健康寿命の延伸
  • しっかり栄養を摂ることで、要介護状態の進行を遅らせることができる。

日本はすでに超高齢社会に突入しており、2025年には65歳以上の人口が全体の約30％に達すると予測されています。

このような状況下で、高齢者の栄養状態の維持は健康寿命を延ばすために重要な課題です。

まとめ

スマイルケア食は、超高齢社会において重要な役割を果たす食品の一つです。

従来の介護食品とは異なり、「低栄養リスク者」を対象に栄養補給を目的とし、食事の楽しみを提供する点が特徴です。

今後も市場の拡大とともに、より多様なスマイルケア食品が開発され、高齢者施設や病院、在宅介護で高齢者の健康維持に貢献していくことが期待されます。