近年、若年性認知症の発症が注目されるようになり、40代や50代でも発症するケースが増えています。
認知症と聞くと高齢者の病気というイメージがありますが、若年性認知症は働き盛りの年代でも発症する可能性があり、日常生活や仕事に大きな影響を与える病気です。
本記事では、若年性認知症の発症年齢や特徴、初期症状、具体的な対応方法、そして認知症予防のために今すぐできることについて記します。
若年性認知症が発症する年齢
若年性認知症は65歳未満で発症する認知症のことを指し、一般的には40代～50代で発症するケースが多いとされています。（認知症全体の約30%が50歳未満で発症するとの報告もあります）
厚生労働省の調査によると、日本における若年性認知症の有病率は10万人あたり50人程度とされ、決して珍しい病気ではありません。
特に、アルツハイマー型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管性認知症が若年性認知症の主な原因とされています。
【若年性認知症の特徴】
- 働き盛りで、就労や生活費、子どもの教育費などの経済的問題が大きい
- 初期症状が認知症特有のものではなく診断しづらい
- 本人や周囲の人が何らかの異常には気づくが受診が遅れることが多い
- 高齢の人の場合に比べ、周囲の人、そして家族も病気を理解し受け入れるのに時間がかかる
現在の医療で完治させることは不可能であり、治療の中心は進行を遅らせることです。
若年性認知症になりやすい人の特徴
以下のような特徴を持つ人は、若年性認知症になりやすいといわれています。
- 生活習慣病を抱えている人（高血圧、糖尿病、脂質異常症など）
- ストレスが多く、不規則な生活を送っている人
- 喫煙や過度な飲酒を続けている人
- 運動不足の人
- 家族に認知症の人がいる（遺伝的要因）
- 脳にダメージを受ける可能性のある仕事をしている（頭部外傷のリスクがある職業）
若年性認知症の初期症状
若年性認知症の初期症状は、高齢者の認知症と同じような症状もあれば、仕事や日常生活の中で「いつもと違う」と感じるような変化として現れることもあります。
- 仕事のミスが増える（記憶力や判断力の低下）
- 物忘れが激しくなる（重要な約束を忘れる、同じ話を繰り返す）
- 計画を立てたり段取りを組むのが難しくなる
- 性格が変わる、感情の起伏が激しくなる
- 道に迷いやすくなる
- 言葉が出にくくなる、会話がぎこちなくなる
これらの症状が見られた場合、早めに専門医の診断を受けることが重要です。
症状が出た時の具体的な対応方法
若年性認知症の症状が疑われる場合、以下のような対応を取ることが大切です。
早めに専門医を受診する
症状が気になったら、まずは神経内科や認知症専門外来を受診しましょう。
早期診断により、進行を遅らせる治療が可能になります。
家族や職場に相談する
仕事に支障が出る場合は、上司や同僚に相談し、業務の調整を行うことが必要です。
また、家族の理解を得ることで、適切なサポートを受けることができます。
生活習慣を改善する
食事や運動、睡眠習慣を見直し、脳の健康を保つための生活を心がけましょう。
認知症予防のために今すぐできること
生活習慣病を改善して認知症を予防する方法
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、認知症のリスクを高めるといわれています。
バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙・節酒を心がけることで、リスクを軽減できます。
身体を動かす習慣が脳に与える影響とは
運動は脳の血流を促し、認知機能を向上させる効果があります。
特に、ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなどの有酸素運動が推奨されています。
生活習慣の見直しがもたらす認知症予防効果
- 睡眠の質を向上させる（7～8時間の睡眠を確保）
- バランスの取れた食事を心がける（地中海式食事や和食が効果的）
- ストレス管理を行う（趣味やリラックスできる時間を持つ）
地中海食とは、ギリシャ、イタリア、スペイン、モロッコなどの地中海沿岸の国々で食されている伝統的な食事様式のことです。
野菜・果物、全粒雑穀類、豆類、種実類・ハーブ・スパイスなどの食品とオリーブオイルを豊富に摂取し、適量のワインとともにいただきます。
知的活動を通じた脳トレーニングの重要性
読書やパズル、計算問題、楽器演奏などの知的活動は、脳の神経ネットワークを活性化させ、認知症のリスクを低減させることができます。
コミュニケーションを増やし脳を活性化させよう
人と会話をすることは、脳を刺激し、社会的なつながりを保つ重要な要素です。
家族や友人との会話を増やし、積極的に外出することが予防につながります。
まとめ
若年性認知症は40代や50代でも発症する可能性があり、働き盛りの世代にとっても他人事ではありません。
しかし、生活習慣を見直し、適度な運動や知的活動を取り入れることで、予防の可能性を高めることができます。
もし認知症の兆候が見られた場合は、早めの受診と周囲のサポートが重要です。
今からできることを実践し、健康な脳を維持するための生活を心がけましょう。
