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【看取りは突然に】もしもの時に備える家族の話し合いと準備

介護
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「看取り」という言葉に、あなたはどんなイメージを持つでしょうか。

病院のベッドの上、家族に囲まれながらの最期、あるいは静かな自宅の布団の中。

人の最期には様々な形があります。

けれど現実には、看取りの場面は突然訪れることが多く、十分な準備や話し合いがないまま、救急車を呼ぶか呼ばないか、延命治療を受けさせるかどうかを、数分のうちに決断しなければならないこともあります。

後悔しない看取りのために大切なのは、本人が元気なうちから「最期をどう迎えたいか」を話し合っておくことです。

この記事では、看取りに備えた家族の対話の重要性や、具体的に何を話せばいいのかを分かりやすく紹介します。

看取りは突然にやってくる

高齢者の体調は、ときに思いがけないタイミングで急変します。

風邪だと思っていた症状が肺炎だったり、転倒がきっかけで寝たきりになったりと、「ある日を境に生活が一変する」ということは珍しくありません。

とくに高齢期は、一つの不調が引き金になって命に関わる状態へと進行することがあります。

そのとき、家族は「救急車を呼ぶかどうか」「治療を望むのか、それとも自然な看取りを選ぶのか」といった選択を迫られます。

問題は、このような重大な選択を、たった数分や数時間で決めなければならない状況になるということ。

本人の意思が分からないままだと、家族は迷い、葛藤し、後悔を抱えることになりかねません。

看取りの形に「正解」はない

現代では、病院、施設、自宅など、看取りの場所も選択肢が広がっています。

厚生労働省の調査によれば、「自宅で最期を迎えたい」と希望する人は多数派である一方、実際には病院で亡くなる人が多いという現実があります。

これは、本人の意思が家族に伝わっていなかったり、緊急時に判断できなかったりすることが大きな要因です。

大切なのは、「病院での医療ケアを望むのか」「できるだけ自然に最期を迎えたいのか」など、その人にとっての“納得のいく最期”が何かを、家族で共有しておくことです。

「こうするべき」という正解はありません。

だからこそ、その人らしい選択を尊重できる準備が必要なのです。

話すのは難しい? いいえ、構える必要はありません

「看取りの話なんて重すぎる」「親に死の話をするなんて縁起でもない」

そう思って、なかなか切り出せない方も多いでしょう。

しかし、あえて深刻な空気にせずとも、日常の会話の中で自然に話すことができます

たとえば:

  • テレビで終末期医療の特集を見たとき

  • 著名人の訃報に触れたとき

  • 近所の方の葬儀の話題が出たとき

  • 「自分だったらこうしたいな」という軽い話題から

このような場面を利用して、「お母さんだったら、どこで最期を迎えたい?」「あんな管につながれてまで生きたくないな」などと、冗談交じりのトーンで話せると、お互いに心理的な負担が少なくなります

意思は変化するから、繰り返し話してもいい

人の気持ちは、年齢や健康状態、生活環境の変化によって変わります。

若い頃には「絶対に病院で治療を受けたい」と思っていた人が、実際に年老いてみると「家で静かに過ごしたい」と考えるようになることもよくあります。

ですから、一度話したから終わりではなく、何度でも、少しずつでも話題にしていくことが大切です。

話していくうちに、「病院だけは嫌」「人工呼吸器だけは使いたくない」など、譲れない条件や避けたいことが明確になってきます。

このような意思の共有は、本人の希望を守るだけでなく、家族間での意見の食い違いを減らし、後悔の少ない看取りにつながります。

家族で話しておきたい5つのポイント

「何を話せばいいのか分からない」という方は、以下のポイントを目安にしてみてください。

話し合うべきこと内容例
最期を迎えたい場所自宅、病院、施設のいずれが希望か
延命治療に対する考え人工呼吸器、点滴、心臓マッサージなどを受けたいか否か
看取ってほしい人誰に最期を見届けてほしいか(家族・友人など)
避けたい最期のあり方管につながれた状態、孤独死など
書面での意思表示の有無リビングウィル、尊厳死宣言、エンディングノートなどがあるか

こうした内容をメモに残しておくだけでも、いざという時の判断材料になります。

可能であれば、書面化(エンディングノート)や、尊厳死宣言の作成も検討するとよいでしょう。

事前の準備が、家族の心も守る

看取りの場面では、悲しみの中で冷静な判断を迫られることが多く、家族は強いストレスを感じます。

とくに兄弟姉妹がいる場合は、「誰が責任を持つのか」「治療方針はどうするのか」といった点で意見が分かれ、トラブルになるケースも少なくありません。

しかし、本人の明確な意思が事前に家族に共有されていれば、判断に迷うことも減り、後悔の少ない選択ができます

さらに、看取りの時間を穏やかに過ごせることは、残された家族にとっても大きな癒しとなるのです。

まとめ:「どこで」「どう死にたいか」を話しておこう

看取りは、いつやってくるか分かりません。

だからこそ、「もしもの時」の備えは、元気なうちに

最期の迎え方には正解がありません。

けれど、話しておくことで「その人らしい最期」に近づけることはできるのです。

まずは今日、少しだけでいいので、ご家族との会話の中に「看取り」の話題を取り入れてみてください。

大切な人の最期に寄り添える、後悔の少ない選択のために。