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在宅介護における排せつのトラブルと便失禁への対処法

介護
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在宅介護では、排せつの問題が大きな課題となります。

特に便失禁は介護者にとって精神的・肉体的な負担が大きく、本人の尊厳にも関わるデリケートな問題です。

適切な対策を講じることで、負担を軽減し、介護される側の生活の質を向上させることができます。

本記事では、在宅介護における便失禁の原因や具体的な対処法、予防策について解説します。

便失禁とは?

便失禁とは、自分の意思とは関係なく便が漏れてしまう状態のことを指します。

高齢者に多く見られ、在宅介護の中でも特に悩みの多い排せつトラブルの一つです。

便失禁の種類

便失禁には以下のような種類があります。

  1. 切迫性便失禁

    • 急に強い便意を感じ、トイレに間に合わずに漏れてしまうタイプ。

    • 原因:加齢による筋力低下、過敏性腸症候群(IBS)、直腸の感覚鈍麻など。

  2. 溢流(いつりゅう)性便失禁

    • 便秘によって腸内に溜まった便が少しずつ漏れてしまうタイプ。

      (腸内に硬い便が詰まってしまい、その隙間から液状の便が漏れ出す)

    • 原因:腸の動きの低下、長期の便秘、大腸の狭窄(きょうさく)など。

  3. 機能性便失禁

    • 認知症や神経系の疾患によって、トイレの場所がわからなかったり、排泄行動が適切にできないことで起こるタイプ。

    • 原因:アルツハイマー型認知症、パーキンソン病など。

便失禁の原因

身体的な要因

  • 加齢による筋力の低下:肛門括約筋や骨盤底筋群の衰えによって便をコントロールしにくくなる。

  • 便秘:便が硬くなり、排便が困難になると、溢流性便失禁を引き起こしやすい。

  • 下痢:感染症や食事の影響で下痢をすると、便意のコントロールが難しくなる。

  • 神経系の疾患:脳卒中、脊髄損傷、パーキンソン病などが原因で排せつのコントロールが困難になる。

心理的・環境的な要因

  • ストレスや不安:精神的な緊張が腸の働きに影響し、便失禁を悪化させることがある。

  • トイレ環境の問題:自宅内のトイレが遠い、狭い、段差があるなどの理由で、トイレに間に合わないケースがある。

  • 介護者の対応不足:排せつのタイミングを把握していないと、適切な声掛けや誘導ができず、便失禁につながることがある。

便失禁への具体的な対策

排せつリズムの把握

  • 介護記録をつけて、排便のタイミングを把握する。

  • 食事後30分〜1時間後が排便しやすい時間なので、その時間にトイレに誘導する。

便秘や下痢の予防

  • 食生活の改善:食物繊維を多く含む食材(野菜、海藻、豆類など)を摂取する。

  • 水分補給:1日1.5~2リットルの水分を摂る。

    (この量は、あくまで一般的な数値であり、高齢者の健康状態や生活環境によって必要な水分量は異なる)

  • 適度な運動:座ったままでできる体操や散歩を習慣化する。

  • 腸内環境の整備:乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆)を取り入れる。

トイレ環境の改善

  • トイレまでの動線を確保し、スムーズに移動できるようにする。

  • 夜間の排泄時のために、ポータブルトイレを寝室近くに設置する。

  • 立ち上がりやすいように手すりを設置する。

適切な介護用品の活用

専門家への相談

  • 医師の診察:便秘や下痢が続く場合は、医師に相談し適切な治療を受ける。

  • 訪問看護や介護サービスの活用:定期的な排泄ケアを受けることで、介護負担を減らせる。

  • 骨盤底筋トレーニングの指導:理学療法士などに相談し、筋力を強化するトレーニングを取り入れる。

便失禁を予防するために

規則正しい生活習慣

  • 毎日決まった時間に食事を摂る。

  • 排便のリズムを整えるために、朝食後にトイレに座る習慣をつける。

ストレスをためない工夫

  • 趣味やリラックスできる時間を作る。

  • 介護者自身も休息を取ることで、余裕を持って対応できる。

早めの対策

  • 便秘や下痢が続いた場合は、放置せずに早めに対処する。

  • 軽い症状のうちに、トレーニングや生活改善を始める。

まとめ 

在宅介護における便失禁は、本人の尊厳や介護者の負担に大きく影響を与える課題です。

しかし、適切なケアを行うことで改善できる場合が多いです。

排せつのリズムを把握し、食生活や運動の工夫を取り入れ、トイレ環境を整えることで、便失禁の発生を減らすことができます。

また、介護用品の活用や専門家への相談を通じて、より負担の少ない介護を目指しましょう。

便失禁は決して恥ずかしいことではなく、適切な対応を行うことで改善が可能です。

介護する側もされる側も、快適な生活を送るために、できることから始めてみましょう。