親の介護は突然必要になることが多く、十分な準備ができていないと経済的にも精神的にも大きな負担となります。
特に、介護費用が不足したときには、どのように対処すればよいのか悩む方が多いでしょう。
この記事では、親の介護費用が足りないときの対策、子供が介護費用を負担した場合の税金対策、介護の負担を軽減する選択肢について解説します。
また、親の介護に関する現実と責任についても考えながら、解決策を紹介します。
親の介護費用が不足した時の対策と知恵
親の介護には、施設利用費、訪問介護、医療費、生活費などさまざまな費用がかかります。
もし、これらの費用が不足してしまった場合、次のような対策を考えることができます。
介護保険サービスを最大限活用する
日本の公的介護保険制度は、要介護認定を受けた場合に介護サービスを受けられる制度です。
自己負担額は原則1割〜3割で、限度額内であれば費用を抑えながらサービスを利用できます。
- 訪問介護(ホームヘルパー)
- 通所介護(デイサービス)
- ショートステイ(短期間の施設入所)
介護保険の認定を受けていない場合は、早めに市区町村の窓口で申請しましょう。
高額介護サービス費制度を活用する
介護費用の自己負担が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される「高額介護サービス費制度」を利用できます。
収入に応じて上限額が設定されているため、対象となるか確認しましょう。
親の資産を活用する
親の預貯金や不動産を活用する方法です。
- リバースモーゲージの利用
親の持ち家を担保にして融資を受け、亡くなった際に売却して返済する仕組みです。 - 不動産の売却・活用
使っていない土地や家を売却したり、賃貸として貸し出すことで収入を得ることができます。
公的支援制度を利用する
市区町村によっては、低所得者向けの介護費用補助制度があります。
また、生活保護を受けることで介護費用が軽減される場合もありますので、自治体の福祉窓口に相談してみましょう。
親の介護のために子供が負担した場合の税金対策
子供が親の介護費用を負担した場合、税制上の優遇措置を受けられることがあります。
医療費控除
親の介護にかかった費用のうち、医療費と認められるものは所得税の医療費控除の対象になります。
例えば、以下の費用が対象になります。
- 介護保険サービスのうち、訪問看護や訪問リハビリの費用
- 医師の指示による介護施設の入所費用(特別養護老人ホームは対象外)
控除を受けるためには、年間10万円または所得の5%を超える医療費が必要です。
扶養控除
親の年間所得が48万円以下(年金収入なら158万円以下)であり、主に子供が生活費を負担している場合、扶養控除が適用されます。
- 一般の扶養控除:38万円
- 同居老親等扶養控除(70歳以上):58万円
親を扶養に入れることで、所得税・住民税の負担を軽減できます。
介護費用の贈与税非課税制度
親の介護費用を子供が負担する際、一括で援助すると「贈与」とみなされることがあります。
しかし、直接介護費用を支払う場合は贈与税の対象外になるため、直接支払いをすることが大切です。
介護負担を軽減するために必要な選択肢
介護の負担を軽減するためには、家族全員で協力し、無理のない方法を選ぶことが重要です。
訪問介護やデイサービスを活用する
家族がすべての介護を担うと、肉体的・精神的に負担が大きくなります。
訪問介護やデイサービスを活用することで、介護の時間を減らしながら親のケアを維持できます。
介護休業制度を利用する
会社員であれば、「介護休業制度」や「介護休暇」を利用できます。
長期的な介護が必要な場合は、勤務先と相談しながら制度を活用しましょう。
親の要介護度を定期的に見直す
要介護度が変わると、受けられるサービスの範囲や費用負担が変わります。
状態に合わせて定期的に見直し、最適な介護サービスを選択することが重要です。
親の介護の現実と責任について考える
親の介護は、家族にとって大きな負担となります。
しかし、日本では「子供が親を介護するのは当たり前」といった価値観が根強く残っています。
- 介護の負担を一人で抱え込まない
- 兄弟姉妹・親族と協力する
- 社会資源を積極的に活用する
家族全員で介護について話し合い、無理なく続けられる体制を作ることが重要です。
まとめ
親の介護は、計画的に準備をしないと大きな負担になります。
しかし、公的な制度や税制優遇措置を活用することで、費用や負担を軽減することが可能です。
- 介護保険や高額介護サービス費制度を活用する
- 扶養控除や医療費控除を活用する
- 介護サービスや家族の協力で負担を分散する
親の介護を前向きに考え、家族で支え合いながら無理のない方法を選びましょう。