【今こそ考えたい介護の未来】担い手を増やすためにできること

2025年、ついに「団塊の世代」が全員75歳以上になります。

これはつまり、日本の高齢者人口がさらに増え、介護のニーズが一気に高まることを意味します。

一方で、介護を支える人材は年々減少し、現場は慢性的な人手不足に。

このままでは「介護崩壊」が現実のものになりかねません。

この記事では、介護業界が直面している現状とその背景、そして希望につながる打開策を、一般の視点でわかりやすくお伝えします。

団塊の世代が75歳以上に突入──2025年は「介護崩壊元年」？

戦後のベビーブームで生まれた「団塊の世代」は、人口が非常に多い世代です。

その全員が後期高齢者（75歳以上）となる2025年には、医療や介護サービスの需要が爆発的に増えると予想されています。

この変化は、「2025年問題」とも呼ばれ、長年懸念されてきました。

今、その危機が目前に迫っています。

介護現場の担い手も高齢に──進む介護職員の高齢化

介護が必要な人が増える一方で、介護する側──介護職員もまた高齢化しています。

定年を延長しながら働く職員も多く、体力的に厳しい現場での継続勤務は簡単ではありません。

若手が定着しにくい現状では、高齢のベテラン職員が現場を支えるしかない、という状況に陥っています。

若者が介護業界に集まらない理由とは？

介護業界は、「人手不足」が叫ばれ続けていますが、特に若者の離職率が高いことが問題です。

なぜ若者は介護の仕事を選ばない、あるいは続けられないのでしょうか？

主な理由としては以下のような声が挙げられます：

• 体力的にきつい
  
  
• 給料が低い
  
  
• 成長ややりがいが感じにくい
  
  
• 周囲の理解が得られにくい

こうした要因が、若い世代の定着を阻んでいます。

重労働・低賃金という固定観念が介護の人材難を加速させる

介護業界には「きつい・汚い・危険（3K）」のイメージが根強くあります。

実際にはやりがいや感謝の声が多い仕事であるにもかかわらず、ネガティブな印象が先行しがちです。

このイメージのままでは、新たな人材はますます集まりにくくなります。

若い介護職が続かない…現場で何が起きているのか？

介護職に就いた若者が、数年以内に辞めてしまうケースは少なくありません。

理由は人間関係のストレス、仕事量の多さ、メンタル面での負担などです。

「理想と現実のギャップ」が大きく、孤立してしまう若手も多いのが現状です。

このままでは支えきれない？介護人材不足の未来予測

高齢化がさらに進む中、介護人材の不足は避けられない現実です。

厚生労働省の推計では、2025年には約38万人の介護人材が不足するとされています。

人材が足りなければ、サービスの質は低下し、家族や地域への負担も増える──負の連鎖が懸念されます。

介護崩壊を防ぐために──今こそ求められる打開策とは？

このまま手をこまねいていては、介護崩壊は避けられません。

ですが、すでに各地で前向きな取り組みも始まっています。

打開策は一つではなく、複数の視点からアプローチが必要です。

若者が介護を選びたくなる職場づくりとは？

まずは「働きたくなる職場づくり」が大切です。

• 研修制度の充実
  
  
• メンタルケアの体制整備
  
  
• キャリアアップ制度の明確化
  
  
• 給与・待遇の見直し

これらを地道に整えていくことで、若者の定着率は確実に変わってきます。

ICT・ロボット導入で介護現場はどう変わる？

介護ロボットや見守りセンサーなど、テクノロジーの導入も進んでいます。

「人の手でなければできないこと」以外を機械に任せることで、職員の負担は軽減され、時間にゆとりが生まれます。

介護＝重労働というイメージを覆す一歩です。

地域全体で支える介護へ──多職種連携と地域包括ケアの可能性

介護は介護職だけで担うものではありません。

医師、看護師、ケアマネジャー、薬剤師、ボランティアなど、地域全体で高齢者を支える仕組みづくりが進められています。

「地域包括ケアシステム」はその代表例です。

住み慣れた地域で最後まで安心して暮らせる社会を目指すために、多職種の連携が鍵となります。

外国人介護人材の受け入れ強化は現実的な選択肢か？

現在、外国人介護人材の活用も増えています。

文化や言語の壁はありますが、しっかりとした研修とサポートがあれば、重要な戦力となり得ます。

国際的な人材の活用も、これからの介護を支える一つの柱となるでしょう。

「介護＝きつい・汚い・給料が安い」を変えるためにできること

国や自治体だけでなく、私たち一人ひとりの意識も大切です。

介護を「身近な問題」としてとらえ、感謝と理解を持って接すること。

また、周囲に介護職の方がいたら、その働きを認める声をかけること。

小さな一歩ですが、イメージの改善と介護の価値向上につながります。

まとめ

2025年は「介護崩壊元年」と言われるほど、重大な節目となります。

ですが、それは同時に「本気で介護と向き合う転換点」でもあります。

今できることは、問題を知り、関心を持ち、そして「支える側」に目を向けること。

私たち一人ひとりが介護の未来に関わる存在です。

介護を支える仕事にもっと光を当て、「安心して老いることのできる社会」へ、共に一歩を踏み出していきましょう。