「もう年だから、筋トレなんて必要ない」と思っていませんか?
実は、年齢を重ねたからこそ、筋肉を意識してつけることが重要なのです。
特に、そのために欠かせない栄養素が「たんぱく質」。
高齢者にとって筋肉は、ただの体力ではありません。
転倒や寝たきり、そして介護のリスクを減らす大切なカギでもあります。
本記事では、高齢者がたんぱく質をしっかり摂るべき理由と、食事や生活でできる工夫をご紹介します。
高齢者が筋肉を失うリスクとは?
年齢とともに、筋肉量は自然に減っていきます。これを「サルコペニア」と呼びます。
60歳を過ぎると、年間1〜2%ずつ筋肉が減少していくと言われ、放っておくと歩行困難や転倒、さらには要介護状態へ進行するリスクも高まります。
「年を取ったから動けない」のではなく、筋肉が減っているから動けないのです。
だからこそ、意識して筋肉を守り、育てることが、自立した生活を続ける秘訣になります。
たんぱく質の重要性
筋肉は、食事から摂った「たんぱく質」を材料にして作られます。
高齢者は加齢によりたんぱく質の合成効率が下がるため、若い人以上に意識的に摂取する必要があります。
では、どのくらい摂ればよいのでしょうか?
目安としては、体重1kgあたり1.0〜1.2g。
たとえば体重60kgの方なら、1日60〜72gのたんぱく質が必要とされています。
これは、卵約10個分、または鶏むね肉300g以上に相当する量。
食が細くなりがちな高齢者には、ちょっと大変な数字かもしれません。
しかし、ポイントを押さえれば無理なく摂取できます。
たんぱく質を上手にとるコツ

たんぱく質は、一度に大量に摂っても吸収されにくいため、1日3回の食事でこまめに取り入れることが大切です。
また、噛む力や飲み込む力が弱くなっている方には、やわらかくて消化に良いたんぱく質源がおすすめです。
おすすめ食品:
- 卵、豆腐、納豆、ヨーグルト
- 白身魚、ツナ缶、鶏ひき肉
- プロテイン飲料やたんぱく質強化食品(補助的に活用)
さらに、たんぱく質だけでなく「適度な運動」を取り入れることで、筋肉がよりつきやすくなります。
栄養と運動の両立が、体を守るカギです。
介護の現場でも注目されている!
実際に、特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護現場でも、「たんぱく質を意識した献立づくり」が広まっています。
たとえば、栄養補助食品やたんぱく質強化メニューの提供によって、入居者の筋肉量や体力が改善したケースも。
厚生労働省も、高齢者のフレイル(虚弱)予防の柱に「たんぱく質摂取と運動」を位置付けています。
これはつまり、「健康な生活を続けるには、筋肉づくりが不可欠」という国としてのメッセージでもあるのです。
高齢者でもできる筋トレ・運動習慣

筋肉を増やすには、食事とあわせて「やさしい筋トレ」を習慣にするのが効果的です。
激しい運動は必要ありません。
以下のようなシンプルな運動を、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
おすすめ運動:
- 椅子に座ってのスクワット(膝の曲げ伸ばし)
- ペットボトルを使った軽い腕の運動
- 壁に手をついてのかかと上げ運動
「ちょっと歩く」「階段を使う」など、日常の中の“プチ運動”も筋肉の維持に役立ちます。
まとめ
高齢者こそ、意識的にたんぱく質をとり、筋肉を守ることが大切です。
それが、転倒や寝たきりを防ぎ、できるだけ長く自立した生活を続けるコツになります。
「いっぱい食べなさい」ではなく、「毎日少しずつ、良質なたんぱく質を摂る」ことを心がけてみましょう。
今日の食事、明日の一歩から、未来の健康は変わります。