「自分が倒れてしまったら、あの人の介護はどうなるのか…」
そう考えると、休むことに罪悪感を覚える介護者の方は少なくありません。
でも、介護を続けていくためには、介護する側も“休む”ことが必要です。
この記事では、介護者が安心して一時的に介護を離れることができる「レスパイト入院」についてご紹介します。
よく似た制度として「ショートステイ」もありますが、それぞれの違いや目的を知ることで、今後の選択肢が広がるはずです。
介護疲れがもたらす影響とは?
介護は心身に大きな負担を伴います。
長期間にわたる介護で睡眠不足やストレスが重なり、うつ症状や体調不良を訴える方も少なくありません。
介護離職に至るケースもあり、疲れを軽視することは大きなリスクにつながります。
レスパイト入院とは?医療機関での“介護者の休息”
レスパイト(respite)とは「一時的な休息」を意味する言葉です。
レスパイト入院は、介護を必要とする方が医療機関に一時的に入院することで、介護者が休息を取れる制度です。
- 主に病院や介護療養型医療施設などで受け入れ
- 医療的ケアが必要な方でも対応可能
- 利用には医師の判断や主治医の紹介が必要
「介護者が体調を崩した」「冠婚葬祭で不在にする必要がある」など、緊急時にも対応しやすい仕組みです。
ショートステイとの違いとは?
ショートステイも一時的な介護サービスですが、主に介護保険サービスの一つとして提供され、介護施設での短期間の宿泊を伴う介護を指します。
比較項目 | レスパイト入院 | ショートステイ |
---|---|---|
施設形態 | 病院など医療機関 | 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など |
対象者 | 医療的ケアが必要な方も含む | 要介護1以上(原則) |
利用目的 | 医療管理下での一時預かり | 介護者の休息、本人の機能維持など |
費用負担 | 医療保険の適用が中心 | 介護保険が適用される(限度あり) |
どちらも「介護者の休息」という目的は共通していますが、対象者の状態や受け入れ施設の種類によって選択肢が変わります。
レスパイト入院・ショートステイの費用の目安
◆ レスパイト入院の場合
- 自己負担の目安:1日あたり 約3,000円〜10,000円程度
医療保険の適用を受けるため、年齢や所得、入院先の病院によって費用に差があります。
高額療養費制度を利用すれば、一定の自己負担限度額を超えた分は後から払い戻されます。
◆ ショートステイの場合
- 自己負担の目安:1泊2日で 約1,000円〜3,000円程度(介護保険1割負担の場合)
食費・居住費などの加算がかかることがあります。
介護保険の「支給限度額」を超えると全額自己負担となるため、事前にケアマネジャーと相談しましょう。
具体的な利用方法と手続きの流れ
◆ レスパイト入院を利用するには
- 主治医やかかりつけ病院に相談
- 医師の判断が必要となるため、まずは病院へ相談します。
- 医師の判断が必要となるため、まずは病院へ相談します。
- 入院可能な医療機関を確認
- 地域の病院に「レスパイト入院を受け入れているか」確認します。
- 地域の病院に「レスパイト入院を受け入れているか」確認します。
- 必要書類の準備
- 診療情報提供書(紹介状)などが必要になることがあります。
- 診療情報提供書(紹介状)などが必要になることがあります。
- 入院日程の調整と予約
※緊急時には地域包括支援センターや病院の相談員を通じて手配してもらうことも可能です。
◆ ショートステイを利用するには
- 担当ケアマネジャーに相談
- ケアプランに位置づける必要があるため、まずはケアマネに連絡を。
- ケアプランに位置づける必要があるため、まずはケアマネに連絡を。
- 利用可能な施設を紹介してもらう
- 地域や希望条件に応じた施設を探してもらえます。
- 地域や希望条件に応じた施設を探してもらえます。
- 事前面談・見学(可能な場合)
- 利用前に施設と顔合わせを行うことが多いです。
- 利用前に施設と顔合わせを行うことが多いです。
- 契約・利用日程の調整
こんな時に使える!レスパイト入院の活用シーン
- 介護者が体調不良や入院を余儀なくされたとき
- どうしても家を空けなければならない用事があるとき
- 心身ともに限界を感じ、「少し離れたい」と思ったとき
- 本人の状態が一時的に不安定で医療的な見守りが必要なとき
「いざというときの手段」として知っておくことで、気持ちの余裕も生まれます。
介護者が「休むこと」の大切さ

介護に真剣だからこそ、「自分が休むのは申し訳ない」と思ってしまう方も多いでしょう。
でも、休まずに無理を続けては、介護を続けることそのものが難しくなってしまいます。
レスパイト入院やショートステイは、“継続的に介護をしていくための仕組み”です。
一時的に離れることは、逃げではなく「続けるための選択」。
大切なのは、休むことでエネルギーを取り戻し、また介護と向き合える心と体を整えることです。
まとめ:地域の制度を活用して、無理のない介護を
レスパイト入院やショートステイは、介護者が心身の負担を軽減し、持続可能な介護を実現するための重要な手段です。
自治体によっては、独自の助成制度や支援策を設けている場合がありますので、ぜひお住まいの地域の制度を確認してみてください。
具体的な制度の詳細や申請方法については、地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口、担当ケアマネジャーなどに相談することをおすすめします。
介護者自身が健康でいることが、被介護者の安心にもつながります。
「休むこと」は決して悪いことではありません。
地域の支援制度を上手に活用し、無理のない介護生活を送りましょう。
📍相談窓口一覧:困ったときはここに相談
- 地域包括支援センター
高齢者支援の総合窓口。
介護に関する相談、レスパイトやショートステイの情報提供をしてくれます。 - 市区町村の介護保険担当窓口
保険の手続きや、サービス利用のための手続きなどを確認できます。 - 担当ケアマネジャー
利用者の状態をよく理解しているので、最適なサービス選びやスケジュール調整が可能です。 - 医療機関の相談室(医療ソーシャルワーカー)
入院に関する具体的な流れや費用の相談もできます。