「ちゃんと見ていたのに、どうして転んでしまったんだろう…」
高齢の親や家族を介護している方なら、一度はそんな思いを抱いたことがあるのではないでしょうか。
転倒や骨折は、高齢者にとって命に関わる大きなリスク。
だからこそ介護者は常に“注意”を払っているはずなのに、それでも事故は突然起こります。
実はその背景には、「見ているつもりで、見えていない」という“視野の狭さ”が潜んでいることがあります。
目の前の動きだけに集中するのではなく、一歩引いて、相手の行動を“先読み”する力が求められているのです。
この記事では、「注意していたのに転倒してしまった」
そんな事故を防ぐための“見る介護”の考え方と、日常の中でできる実践法をご紹介します。
“見ること”も、立派な介護。
今日からできる第一歩を一緒に考えてみませんか?
高齢者の転倒・骨折、なぜ防げない?
高齢者の転倒は、日常のどこにでも潜んでいます。
特に自宅ではこんな要因が重なりやすく、危険です。
- 筋力・バランスの低下
- 加齢による視力や判断力の低下
- 段差・敷居・カーペットなどの環境要因
- トイレやベッドでの移動中の焦りや急な動作
介護する側は「見守っていたつもり」でも、行動のタイミングや癖を理解していないと、防げない事故が起こります。
視野の“狭さ”が事故を招く

「気をつけていたのに」
「声をかけたばかりだったのに」
そんな時に限って転倒してしまう。
それは、介護者が「その瞬間」だけを見ていたからかもしれません。
行動の“前”と“後”まで観察できていたか?
本人の癖やリズムに注意を払っていたか?
たとえば、
- ベッドの端に座ったら、次は立ち上がる
- 立ち上がったら、次は歩き出す
- 歩く前に、杖や手すりを探すかもしれない
こうした流れを把握していれば、事故の一歩手前でサポートができるのです。
「見ることも介護」の本当の意味

介護現場でベテラン職員がよく使う言葉に、「見守りは“ただ見る”ではなく、先を読むこと」というものがあります。
ただそばにいるだけでは足りないのです。
大切なのは、相手の次の行動を想像して、心の準備をしておくこと。
これは、慣れていない介護者ほど見落としがちですが、実は一番効果的な“転倒予防”なのです。
家庭でもできる「見る介護」のコツ
では、家庭でどんなふうに“見る介護”を実践すればよいのでしょうか。
いくつかのポイントをご紹介します。
「行動の前後」に注目する
- ベッドに腰掛けたら → 立ち上がりに備える
- 立ち上がったら → 歩き出しに注意する
- トイレから出たら → 足元のふらつきに備える
動作の“癖”を観察する
- どちら側から立ち上がるか
- 杖や壁に頼る癖はあるか
- 立ち上がった後、ふらつかないか
周囲の安全を“視野に入れる”
- 足元の障害物は?
- スリッパが脱げやすくないか?
- 夜間の照明は十分か?
こうした“小さな気づき”が、大きな事故を防ぎます。
まとめ:一歩下がって見ること、それが事故を防ぐ力になる

転倒や骨折は、注意していても起きることがあります。
でもその“注意”が、「一歩下がって全体を見る視点」だったなら、きっと防げたはず。
- 相手の行動パターンを知る
- 次の動きを先読みする
- 見るだけでなく、“観察”する
こうした「見る力」こそ、介護の基本であり、最大の事故予防です。
あなたの“見守り”が、明日の転倒を防ぎます。
ぜひ、“見る介護”を意識してみてください。