「親の介護が必要になったら、まず何をすればいいのか…？」
「介護保険って聞くけど、どう使うのかよく分からない」
そんな不安を抱えるご家族はとても多いです。
介護が必要になる場面は突然訪れます。
しかし、介護保険制度を知っておくことで、
・介護の費用を抑えられる
・家族の負担を軽くできる
・必要な支援に早くつながれる
という大きなメリットがあります。
この記事では、介護保険の仕組み、要介護認定、利用できるサービス、料金、デメリットまで、初めての方でも理解できるようにやさしく解説します。
介護保険とは？制度の基本と目的をわかりやすく解説
介護保険制度の概要と目的
介護保険制度は、2000年に始まった高齢者の介護を社会全体で支える仕組みです。
それまで「家族が担うもの」とされていた介護を、社会的サービスによって補完し、家族の負担を軽くすること が大きな目的です。
介護保険制度の全体像
介護保険制度の流れは次の通りです。
40歳以上になると介護保険の「被保険者」となり、市区町村に保険料を納付し、必要に応じて要介護認定～サービス利用まで進む形です。
- 40歳以上の住民が介護保険の被保険者となります。65歳以上は「第1号被保険者」、40歳～64歳は「第2号被保険者」（医療保険加入者）です。
- 保険料は市区町村（保険者）が徴収。
- 要介護状態になった場合、介護認定申請→市区町村が調査・審査を経て認定。
- ケアマネジャーによるケアプラン作成（必要なサービスを計画）。
- ケアプランにもとづき、訪問介護・施設入所・地域密着型サービスなど各種サービスが利用可能。
年齢別・認定のポイント
サービス内容
- サービスは「居宅（自宅）」「施設（入所）」「地域密着型」の3形態に分かれ、多様なサービスが準備されています。
この一連の流れが、介護保険利用の基本プロセスです。
介護保険制度の対象者と要介護認定とは
介護保険を利用するには、まず 市区町村に申請し、「要介護認定」を受ける必要があります。
要介護度の目安
認定区分は以下の7段階です：
- 要支援1・2（生活の一部で支援が必要）
- 要介護1〜5（数字が大きいほど介護度が高い）
各要介護度の状態目安
- 要支援1：日常生活はほぼ自立しているが、少し支援があると安心できる状態。
- 要支援2：軽度の介護が必要。家事や身の回りのことで一部支援が必要。
- 要介護1：一部で見守りや助言、軽い介助（起き上がり・立ち上がりなど）が必要。
- 要介護2：部分的な介助が必要。歩行や着替え、移動などに介助が必要。
- 要介護3：日常の多くで介助が必要。食事・排泄・入浴などで介助と見守りがともに求められる。
- 要介護4：ほぼ全面的な支援が必要。生活のほぼすべての動作に介助が必要。
- 要介護5：全ての生活動作について全面的な介助が必要。寝たきりに近い状態。
判定方法・使えるサービス
この要介護度に応じて、利用できるサービスや支給額が変わります。
介護保険制度の仕組みと保険料について
介護保険の財源は以下で構成されています：
- 保険料（50%）
- 税金（国25%、都道府県12.5%、市区町村12.5%）
保険料は自治体ごとに異なり、所得（年金額など）に応じて負担額が変わります。
介護保険を利用するための申請方法と手続き
申請〜利用の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 申請 | 市区町村へ要介護認定を申請 |
| ② 調査 | 自宅訪問で「認定調査」 |
| ③ 医師意見書 | 主治医が心身の状況を記入 |
| ④ 判定 | 介護認定審査会で判定 |
| ⑤ 結果通知 | 要介護度が決定 |
| ⑥ ケアプラン | ケアマネジャーがプラン作成 |
| ⑦ 利用開始 | 必要なサービスがスタート |
もっと詳しく「在宅介護の始め方」「費用」も知りたい方は
介護保険で利用できる主なサービスと種類
介護保険で受けられるサービス一覧
介護保険の代表的なサービスは次の通りです：
- 訪問介護（ホームヘルプ）
- 訪問看護
- デイサービス
- 福祉用具レンタル
- ショートステイ
- 特別養護老人ホーム
- 老人保健施設
- 認知症グループホーム など
利用者負担は 1〜3割 です。
介護保険サービスの種類：居宅・施設・地域密着型サービス
介護保険サービスは、利用場所や提供形態により「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」に分類されます。
居宅サービス（自宅）
自宅で暮らしながら受けるサービスです。
主な例：
- 訪問介護（ヘルパーが自宅訪問し、入浴や排せつ、食事などの介助や生活援助を行う）
- デイサービス（通所介護：日帰りで施設に通い、食事・入浴・レクリエーションなど）
- 訪問リハビリ（理学療法士などが自宅で運動機能の訓練を行う）
施設サービス（入所）
介護保険3施設への入所型サービスです。
主な例：
地域密着型サービス（近隣限定）
原則住んでいる市町村内の事業所だけ利用できる、小規模・顔なじみ型サービス。
主な例：
- 小規模多機能型居宅介護（通い・訪問・宿泊を組み合わせ、少人数で柔軟な支援）
- 認知症グループホーム（認知症高齢者が少人数で生活し、スタッフが24時間支援）
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護（定期的な訪問＋必要時の柔軟な対応、24時間体制）
各サービスは要介護度や希望、生活状況によって選べ、組み合わせも可能です。
地域密着型は特に「住み慣れた地域で長く自立した生活を支える」ため導入されています。
要介護認定区分ごとの受けられるサービス内容
要介護度別の主なサービスと支給限度額のイメージ
要介護度ごとに、介護保険で利用できる月額の支給限度額は以下の通りです。
居宅サービスの目安金額で、限度額を超える分は自己負担になります。
支給限度額（2025年目安）
| 要介護度 | 支給限度額（月額・円） | 主なサービス例 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 50,320 | 予防デイサービス |
| 要支援2 | 105,310 | 訪問介護（軽度） |
| 要介護1 | 167,650 | デイサービス中心 |
| 要介護2 | 197,050 | 訪問&デイの組み合わせ |
| 要介護3 | 270,480 | ショートステイ等が増加 |
| 要介護4 | 309,380 | 一部で施設利用検討 |
| 要介護5 | 362,170 | 施設入所も有力 |
※具体的なサービス内容は、利用者の状態や希望によって異なりますが、要介護度が高くなるほど訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設入所などの利用頻度・内容が増えていきます。
支給限度額の補足
サービス例のポイント
- 要支援：多くが「介護予防」目的のデイサービスや家事支援
- 要介護1～2：日中のデイサービス＋訪問介護組み合わせが主流
- 要介護3以降：短期入所（ショートステイ）、施設利用、訪問看護などが増加
この表は2025年度現在の支給基準であり、市町村ごとの条例で細かな上乗せや追加基準がある場合もあります。
介護サービスを利用する際の注意点と申し込みの流れ
利用する際は以下に注意してください：
- 限度額を超えると全額自己負担
- 事業所によってサービスの質や相性に差がある
- 特養は待機が多い
- ケアプランは「本当に必要な内容か」必ず確認
ショートステイを検討したい方は
介護保険制度に関するよくある質問とデメリット
介護保険と要介護認定の関連性について
要介護認定を受けて初めて、介護保険の1〜3割負担が適用されます。
つまり、認定が制度利用の入口です。
介護保険制度のデメリットと課題
- 施設の待機が長い
- 要介護認定が希望より軽く出ることがある
- 保険料が年々上昇
- サービスの人材不足
介護保険料の負担割合とその計算方法
利用者の収入に応じて1〜3割に変動します。
介護保険制度はいつから始まったのか？歴史を振り返る
2000年にスタートし、「家族介護」から「社会で支える介護」へ大きく転換しました。
介護保険制度の未来と今後の展望
- 在宅介護を支えるサービスの強化
- ICT・介護ロボットの普及
- 介護人材の待遇改善
- 予防介護の推進
まとめ
介護が必要になったとき、まず行うべきことは「介護保険制度を理解すること」です。
介護保険を知ることで、
- 家族の負担が大きく減る
- 利用できる支援の幅が広がる
- 入所や在宅の選択がしやすくなる
という大きなメリットがあります。
特に、申請手続き・サービスの種類・費用のしくみは、早めに理解しておいたほうが安心です。
